【中野人】ミニ小説「北大ホームズ」2話

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新コーナー「宮園オート坪井」のミニ小説「北大ホームズ」、連載が始まりました!坪井氏の母校「北海道大学」を舞台にしたミステリー、もちろんフィクションです。ぜひご愛読下さい。

 

☆ミニ小説「北大ホームズ」

 

【2話】

 

アパートの前に転がっていた死体は三十歳くらいの男性のもので、死後硬直なのか寒さで凍ったのか、カチカチに固まってしまっていた。

まさか本当に死体が出てくるなんて……宮田の推理小説の喩えを思い出しながら、僕は生まれて初めての殺人現場に戦慄していた。

そんな僕とは対称的に、宮田はとても冷静だった。僕の携帯を借りて(宮田は携帯電話を持たない主義だ)警察に連絡し、ついでに大学への連絡も忘れなかった。

普通、殺人現場に遭遇したときは警察に連絡すれば済むと思うのだが、このアパートが半ば北大の学生寮で、住人の大半が北大生であることを考えれば、大学へも何らかの連絡をしておくのが正しいのだろう。

警察はものの十分ぐらいでやってきた。遅れて鑑識やら新聞記者までもがやってきて、アパート周辺は結構な騒ぎになった。

「そんなに落ち込むなよ内川。殺人事件なんて日本中で毎日のように起きてるんだからさ」

宮田の言うことも一理あるが、流石に自分の目の前で起きると動揺もする。殺された相手が自分と一切面識のない他人であることも、事件の不気味さに拍車を掛けていた。

警察の人が言うには、死体は鑑識課に回されて、その後に身元を判明させるという。

誰が殺して、誰が殺されたのかもわからないのだから、調査は長丁場になるかもしれない。

当然ながら第一発見者である僕と宮田も事情聴取に応じることになるし、今後も時間を取られるだろう。

僕としては一刻も早く遺体の身元が判明し、犯人も捕まることを祈るばかりだ。

しかしそんな僕の思いとは裏腹に、翌日とんでもないニュースが飛び込んできた。

 

※次号へ続く

 

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